【症例の概要】
患者:49歳 女性 主婦
初診:2016年9月30日
主訴:左上が抜けそう、ぐらぐら
歯式:
【要旨】
患者は初診時49歳の女性で、左上の歯牙がぐらぐらして抜けそうだとの主訴で来院されました。
歯周炎は中等度でしたが前歯部がオープンバイトであるため咬合接触のある臼歯部には著しい垂直性の骨欠損を抱えていました。顕著な下顎隆起があり、かなり強い力の影響が疑われたため、臼歯部の力を解放して全顎的に咬合接触状態の改善が必要だと考え治療を進めました。
回復力は高いと予想した通り、歯周基本治療で歯周組織の改善が見られたため、より歯周環境を整え、二次性の咬合性外傷のリスクに備えルためMTMにより歯牙移動を行いました。
動揺が残る歯牙に対しては必要最小限の連結範囲で補綴設計を考えましたが、補綴処置後に偏咀嚼の影響で右側にトラブルが出現したため連結範囲を増やして術後対応しました。
治療期間は4年、補綴処置後3年半経過していますが現在は比較的安定して経過しています。
【まとめ】
・臼歯部の骨欠損に対して力を解放することで歯周組織の改善が見られ、また咬合支持を増やすことで臼歯部の負担を軽減できたことは今後、歯牙を保存する上で有効だと考えました。
・動揺歯の連結範囲は必要最小限にとどめたいですが、経過観察の中で適宜術後対応が必要だと感じました。
・右咬みの偏咀嚼傾向が強くなっており、今後臼歯部の変化を注意深く観察する必要があると考えています。