可撤性ブリッジで対応した犬歯を含む3歯欠損の1症例
井口 佳大(KDM 卒後18年)
【患者概要】
 患者:79才、女性、名誉教授
 初診日:2017年4月
 主訴:左上の歯がグラグラする
 歯式:
【要旨】
 現役で教鞭をとり講演もされる方で、補綴物の装着感にはとても敏感である、歯科既往歴:以前海外に滞在していた時、下顎の両側遊離端欠損部にインプラント治療を行っていたが、左下のインプラントは仮歯の状態で治療を中断していた。
 口腔内:下顎の歯列は比較的安定した状態で、上顎の歯列は左上234の3歯連続欠損をかかえた歯列であった。治療経過:欠損部のインプラント治療は、年齢や歯槽骨の状態を考慮すると非常に難易度が高いと考えた。そのため、テンポラリークラウンを用いて連結範囲を模索することで、安定する補綴設計を検討した。さらに、テンポラリークラウンを可撤性のテンポラリー義歯に変更し、使用感と清掃性を検証した。
 最終的に清掃性が良く術後対応可能なA G Cテレスコープを用いた可撤性ブリッジを選択し、作製した。
初診から約7年経ち、患者は87歳とさらにご高齢になり、体調によって清掃状態に波がある。現在はメンテナンスを続けながら、問題箇所の早期対処を行なっている。
【まとめ】
 以下の点がメンテナンス中の経過から試されてる
 1.補綴の連結範囲の模索の妥当性があったかどうか
 2.二次固定の清掃性
 3.術後対応のしやすいと考えた補綴の妥当性

キーワード:【高齢者】【可撤性】【連結範囲】【術後対応】



歯根膜を活かした歯の保存への取り組みをした1症例
富樫 裕一郎  (歯考会 卒後18年)
【患者概要】
患者:39歳、男性、自動車塗装工
初診日:2014年11月
主訴:歯がぐらぐらする
歯式:
【要旨】
 重度歯周炎患者の治療においては、炎症や力のコントロールはもちろん保存の可否やその後の補綴設計など、考慮しなければならない事項は多岐にわたります。今回、若年者重度歯周炎患者において歯の保存に努め口腔環境の安定を目指した症例を発表させていただきます。
 患者は39歳の男性、歯がぐらぐらし口臭を指摘されたことを主訴に、当時の勤務先であった神奈川県平塚市平野歯科医院に来院されました。歯周組織の炎症は強く、X線診査においても水平性、一部に垂直性骨欠損を認めました。
 歯周炎が進行し根尖におよぶ骨透過像を呈していた右上4においては、歯周基本治療、自然挺出ののちにMTMにて骨欠損の形態を改変し、その後歯周組織再生療法にてさらなる歯周組織の安定を図ったうえで2次固定のブリッジにて補綴治療をおこないました。現在補綴治療から4年6か月経過し、自身の開業先で経過をみている症例を発表させていただきます。
キーワード:【重度歯周炎】 【歯の保存】 【若年者】



矯正のスペース確保のために予後不良歯を抜歯で有効活用した症例
渡邉 拓朗(包括歯科医療研究会 卒後18年)
【患者概要】
 患者:29才、女性、アパレル販売員
 初診日:2016年8月
 主訴:右上左下奥歯がかけた 歯並びが気になる
 歯式:
【要旨】
 主訴部位は保存治療にて対応はできるものの患者の年齢を踏まえ、長期予後を前提とする第一選択にはならないと考えた。
矯正治療も希望されていたが、通法通り便宜抜歯が必要と思われるケースと判断した。かねてより便宜抜歯を回避したいというコンセプトから今回は予後不良歯を抜歯することで、スペースを獲得した。
スペースを有効活用するために大臼歯の遠心移動、智歯の活用、歯牙移植を組み合わせることで、患者の主訴に対する希望と長期予後を兼ね揃えた治療計画を心がけた。治療は約3年、経過は4年半ほどの症例ですが、現在のところ大きなトラブルはありません。
よろしくお願いいたします。
キーワード:【大臼歯遠心移動】【智歯の活用】【歯牙移植】



歯周治療に取り組んだ8年間
長瀬 崇(救歯会 卒後22年)
【症例の概要】
患者:49歳 女性 主婦
初診:2016年9月30日
主訴:左上が抜けそう、ぐらぐら
歯式:
【要旨】
 患者は初診時49歳の女性で、左上の歯牙がぐらぐらして抜けそうだとの主訴で来院されました。
歯周炎は中等度でしたが前歯部がオープンバイトであるため咬合接触のある臼歯部には著しい垂直性の骨欠損を抱えていました。顕著な下顎隆起があり、かなり強い力の影響が疑われたため、臼歯部の力を解放して全顎的に咬合接触状態の改善が必要だと考え治療を進めました。
 回復力は高いと予想した通り、歯周基本治療で歯周組織の改善が見られたため、より歯周環境を整え、二次性の咬合性外傷のリスクに備えルためMTMにより歯牙移動を行いました。
 動揺が残る歯牙に対しては必要最小限の連結範囲で補綴設計を考えましたが、補綴処置後に偏咀嚼の影響で右側にトラブルが出現したため連結範囲を増やして術後対応しました。
 治療期間は4年、補綴処置後3年半経過していますが現在は比較的安定して経過しています。
【まとめ】
・臼歯部の骨欠損に対して力を解放することで歯周組織の改善が見られ、また咬合支持を増やすことで臼歯部の負担を軽減できたことは今後、歯牙を保存する上で有効だと考えました。
・動揺歯の連結範囲は必要最小限にとどめたいですが、経過観察の中で適宜術後対応が必要だと感じました。
・右咬みの偏咀嚼傾向が強くなっており、今後臼歯部の変化を注意深く観察する必要があると考えています。


キーワード:【咬合性外傷】【偏咀嚼】【連結範囲】
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