2013 新人発表事前抄録


歯牙移植により咬合支持を改善した症例
河村 太郎(歯然会・卒後11年)
【要旨】
 患者さんは37歳の女性で、「顔の左側が腫れて痛い」ということで来院されました。口腔内は齲蝕罹患度が高く、保存不可能と思われる歯を抜歯するとEicnner B1となり、左側大臼歯部の咬合支持が失われる状態でした。主訴の解決後、患者さんの年齢や生活背景を考慮しながら、全顎的な治療介入を始めました。欠損部には機能していない智歯を2本移植することで大臼歯部での咬合支持を増やすことを計画しました。  プロビジョナルレストレーションから咬合力は弱いと判断し、最終補綴を行ないましたが、デンタル所見では歯槽硬線の肥大があり、力の影響を受けているようでした。考察の甘さや手技の稚拙さなど反省点が多々ありますが、ご指導ご批判を頂けたらと思います。
キーワード:【Eichner B1】【下顎両側遊離端欠損】【歯牙移植】


アンテリアガイダンスを模索した1症例
市川 康裕(KDM・卒後13年)
【要旨】
  左上のブリッジの動揺を主訴に来院されました。左上 @23C5E ブリッジの支台である左上46がホープレスのため、義歯またはインプラントによる補綴の必要性を説明したところ、可撤性義歯には難色を示されました。即時義歯から義歯を改変したところ、患者さんにも受け入れられたため、可撤性の義歯を選択することとしました。  治療用の義歯で長い中間欠損がある左側の側方運動時に義歯が転覆したり、右側の義歯が破折したりのトラブルがあったため、アンテリアガイダンスを調整し経過をみたたころその後はトラブルが無かったため、そのアンテリアガイダンスを最終義歯へと移行しました。  左右または上下での歯数の違いが、今後どういった形で現れてくるかが心配です。  経過がない症例ですが、皆様のご助言、ご指導の程よろしくお願いします。
キーワード:【上顎両側犬歯欠損】【アンテリアガイダンス】【テレスコープ】



上顎歯の保存に努めた症例
名村 大輔(救歯会・卒後14年)
【患者概要】
患者: 57歳 男性 会社役員
初診:2009年11月
主訴:前歯が折れた
歯式:

【要旨】
 患者さんはお酒に酔って階段から転落し。前歯が折れたのを主訴に来院しました。10年ぶりの歯科受診で、打撲による歯冠や歯根破折、根尖病巣、縁下カリエスがみられました。プラークコントロールは不良で、カリエスリスクが高く、咬耗や骨隆起など力の問題を抱えていました。
 治療目標は弱体化した咬合支持歯を保存し、長期的な咬頭嵌合位の維持としました。右上6番、右上21番、左上1番、右下5番はカリエス治療、歯内療法、矯正的挺出を行い、左下6番部は大臼歯部の咬合支持を増やすためインプラントを埋入しました。フェルールを確保するためクラウンレングスニングを行い、テンポラリーで上顎補綴物の設計を考えましたが、動揺歯を組み込む事、今後の歯根破折等のトラブルに対し術後対応が良く、2次固定効果のあるコーヌスクローネ義歯を選択しました。下顎の補綴治療を先行し、上顎は内冠を装着後、レジンコーピング法を用いてコーヌスクローネ義歯を装着しました。患者さんにもよく噛めると言って頂き、満足して使用してもらっています。経過が短い症例ですが提示させて頂きご批判、ご指導を賜りたいと考えています。

【結論】
1.付着支持組織量が少ない歯牙も矯正的挺出、クラウンレングスニングを行う事で咬合支持歯として取り込む事が出来、咬頭嵌合位の安定に繋げる事が出来ました。
2.上顎補綴治療をコーヌスクローネ義歯にする事によって2次固定効果と掃性の良さも実感しました。
キーワード:【矯正的挺出】【咬合支持】【コーヌスクローネ義歯】



再生療法とインプラントを応用して咬合の安定を図った重度歯周炎症例
谷口 崇拓 ( TRD・卒後15年)
【要旨】
患者:54歳 男性
初診日:2009年9月26日
主訴:歯が4本抜けました
歯式:
重度歯周炎と齲蝕によって保存困難な歯が数本あり、このままだと臼歯の咬合支持が失われ、咬合崩壊が進行していくと思われました。できるだけ歯の保存に努め、長期的な予後を考慮して、インプラントと再生療法を用いて、歯周組織状態の改善と咬合の安定を図ることにしました。
上顎は歯槽骨欠損が著しく、患者は固定性補綴物を望んでいましたが、歯冠歯根比や歯槽骨形態の問題から、インプラント支台のオーバーデンチャーとし、下顎は再生療法とGBR術を併用してインプラントを含めた補綴治療を行いました。ご意見、ご指導を宜しくお願い致します。
キーワード:【臼歯部咬合崩壊】【再生療法】【インプラントオーバーデンチャー】【Class III根分岐部病変】


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